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東南アジア、南アジアを中心とする世界各国における、海外市場、マーケティング調査|Research Asian Information rain

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エッセイ:”エンジェル係数”の高い東南アジア主要国~子ども関連市場の現在

東南アジアの主要国における、「エンジェル係数」が高いことは昨今の同地域の市場を考えるうえで注目に値するのではないでしょうか。「エンジェル係数」とは、可処分所得に占める子ども関連の支出を指数化したもので、食費の割合を示す「エンゲル係数」をもじった呼び名で最近広まっている考え方です。
中間所得総における子ども関連の絶対的な支出額を見れば、所得水準の高い都市で当然多くなりますが、可処分所得に占める割合ではアジア各都市は東京より高く、いわゆる「エンジェル係数」が高いといえます。東京、上海(中国)、ムンバイ(インド)、シンガポール、クアラルンプール(マレーシア)、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、ホーチミン(ベトナム)の比較では、可処分所得に占める子ども関連支出の割合は、どの都市も軒並み東京の2倍以上となっており、「エンジェル係数が高い」と言えるのです。

これを反映するように、日本では頭打ちの子供関連市場ですが東南アジア各国では軒並み年平均で10%以上の成長が予測されており、5年間で規模が2倍前後との予測がされています。

モノの市場のみならず、子ども自身の能力を高めていったり、多様な経験をさせたりする教育への熱も高まっています。アジア8都市の中間層の家庭において子どもに習い事をさせている割合は東京の83%に比して多い都市が目立ち、とりわけ、東南アジアではジャカルタ、ホーチミンの割合が際立って高くなっています(ジャカルタは93%、ホーチミンは95%)。

0-14歳人口は日本では13%ですが、東南アジア各国では20~30%です。また絶対数ではインドネシアの当該年齢人口はタイやミャンマーの総人口に近く、どれだけ大きな市場があるかが見て取れるかと思います。人口千人あたり出生率は日本で7.9ですが、タイを除く東南アジア各国ではその2倍から3倍であり、今後も子ども世代の増大が見込まれます。
では、このような「エンジェル係数」が高く、今後子どもの数も増えていくと見込まれる地域において、どのようなモノやサービスが人気なのでしょうか。例えば、インドネシアにおける日系や外資系企業の子ども向けビジネスの事例には以下のようなものが見られます(それぞれ各種新聞報道により抽出)。

  •  公文:   インドネシアに約600の教室、125,000人が学習。
  • キッザニア:東京についで2番目の海外拠点としてジャカルタに進出、40社が出展、うち10社は日系。
  • バンダイ: インドネシアで放映されている特撮ヒーローの玩具を販売。
  • マンダム: 子ども用化粧品の販売。
  • ヤマハ: 小学生向けバイクの試運転教室開設。

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また、これまでになかった、またあるいはあまり一般的ではなかった商品の普及も見逃せません。タイではまだベビーフードの種類は豊富ではなく、売り場面積も小さいですが、市場規模自体は日本の84.1%あり、また、2013年は前年比134.5%の成長となっています。タイの大手デパートの食品売り場のベビーフードコーナーを見ると、グローバル企業2社の棚がメインですが、棚自体はあまり大きな面積ではありません。また、日系メーカーのベビーフードは棚には見られず、今後進出が進むのではないかという気がしています(左写真の2段目がローカルの棚、3段目がハインツ、4段目がネスレの棚)。

同様に、これまで普及してこなかった商品として紙おむつがあります。
紙おむつの市場は、日本、タイ、インドネシアを比較すると、1720億円程度の市場規模がある日本に比して、インドネシアでは500億円規模、タイでは352億円規模程度となっています(2013年)。これだけ見ると、普及率はまだまだなのか、市場も未成熟なのではないかと思うかもしれませんが、布おむつから紙おむつへのシフトは急速に進んでおり、前年比では3%程度のマイナス成長をしている日本に比して、インドネシアは1.5倍、タイは1.4倍と市場が伸びているのです。この勢いは今後も続くとみられています。この機をうまくとらえた成功事例として有名なのは、日本のおむつでシェア1位のユニ・チャーム社です。同社はインドネシア、タイで半分程度の市場シェアを持ち、業界1位となっています。同社が、毎年海外事業が好調であり、増収増益を重ねているという報道はここ数年毎年目にしていますが、これは、東南アジアの変化していく生活様式や文化の機をうまくとらえたということに他ならないのでしょう。
ユニ・チャーム社以外にも東南アジア市場では日系企業が食い込んでいます。先日タイで行った弊社による現場調査では、ベビーグッズ売り場にはアメリカ系、ヨーロッパ系のほか、日系ブランドも多く並んでいました。キャラクターでは、アメリカのヒーローものやアニメ、ディズニーが人気のほかに、サンリオも人気(とりわけキティちゃん)があります。おもちゃ売り場はLEGO、アメリカのアニメ、ヒーローもの、Disney、サンリオが人気です。タカラトミーが大きな面積を持っているほか、シルバニアファミリーの売場もあります。
以上を見る通り、東南アジアでは(1)子どもの数は今後も増えていく見込みで、(2)可処分所得に占める子ども関連支出は日本よりも高い傾向があり、そのため(3)子ども市場は今後も拡大が見込まれている状況で、(4)日本製品への信頼性、親和性、親しみは高く、過去に工夫次第で大きなシェアを取った事例もあること、⑤今後子ども市場の成熟化からニーズも多様化することが予測され、大手企業の得意分野のみならず、様々な裾野的商品やサービスの市場が広がっていくであろうことから、紙おむつやベビーフードのように日本では当たり前となっているが東南アジアではまだまだ便利さが伝わり切っていなかったというような市場を開拓し、便利な商品を広めていくことができれば、東南アジアにおける子ども市場は今後中堅中小企業にとっても魅力ある市場と言えるのではないでしょうか。

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※写真はすべてレイン撮影。本文や写真の引用、転載をご希望の場合はinfo@research-asian.infoまでご連絡ください。